自然を大切に、釣り場をきれいに
九州ヘラブナ釣連合会
■タチとタナ
「タチ」モ「タナ」もへら釣り人にとってはなじみの深い言葉である。釣り人ではない普通の人や、初心者向けに解説する場合、「タチ」は水深、「タナ』は水面からエサまでの深さ と簡単には説明できる。しかし、タチ＝水深は「立ち上がり」と説明してすぐにわかっても、「タナ」はなかなか理解してもらえなかったことがある。へらぶなが中層でも餌付くことを説明し、床から天井までの間にあるもの、すなわち「棚」を思い出して、理解してもらった次第である。
Wikipedia 「タナ」をしらべてみると、一般的な棚や、大陸棚、棚田など階段状になったもの という解釈がある。そして最後に「 釣り用語で、狙う魚の遊泳層を棚（タナ）と表記という。仕掛けを棚の高さに調整することをタナ取り（またはタナ合わせ）という」と解説がある。タナもタチも釣り人だけに通用する言葉、いわゆる「業界用語」だ。
以前、製鉄の溶鉱炉の仕事をしている方から、「溶鉱炉の中がタナ状態になっている」ということばをきいたことがある。詳しくはわからないが、炉の下部にある、溶けた銑鉄の上部が空洞になり、溶けかけた鉄鉱石が炉の中間にたまって、宙吊りの状態になっていることを言うのだそうだ。まさしく釣り人の「タナ」とおなじだと思った。釣り人（釣り業界）以外のほかの業界にも、この「タナ」や「タチ」の業界用語があるのではないかと興味がわく。一度調べてみたいものだ。
へら釣り用小道具に タナ取りゴムがある。浮子とこのゴムを使って、水深を測るわけだ。このゴムに既製品や手造りなどがあり、材料もゴム以外にに鉛やプラスチックなどがある。言葉の意味を正確に表すなら、「タチ取りゴム」としたほうが良いのでは？と考えてしまうことがある。私は消しゴムを1センチ角に切り出して使っている。近くに釣り堀がないので、すべてが野釣りとなるが、大まかなタチを消しゴムで測り、あとは実際に餌を付けてタチを測っている。水底に泥や障害物の多い野釣りの場合、このやり方のほうが正確に測れそうである。
2０２１年２月 K.M
２０２３年３月加筆・訂正